2004年刊行。「妖精配給会社」(1976)、「午後の恐竜」(1977)を底本とし、パンチの効いた短編を13話収録。
宇宙人や、恐竜、幽霊、犯罪、不思議な出来事…など、いろいろな面白い話が楽しめるお得な本。
それぞれの話が独立していて、読みきりなので、どこから読んでもかまわないところは気楽でいい。
不幸な男の下に宝船がやってきて願いをかなえてくれる話や、勝手に空きビルを地獄の一部として利用される話など、大人にも充分に読み応えがある。社会問題や、人間の愚かさ、欲望などに対する強烈な皮肉や、筆者の独自の考えが表れていると思われるところもあり、大人になってからのほうが楽しめるかもしれない。
最後に収録されている「午後の恐竜」は、地球の終わりを扱った妙な話で特に印象に残った。読者は安全な場所で物語の世界を楽しんでいるのだが、今、私の生きている世界でも同じようなことが起きるような気がしてしまい、妙な恐ろしさが感じられた。
世界が平和であってほしいと、強く思う。