吉田さんのこのシリーズは、同じ話が別の角度から繰り返されるので、ふしぎな感じがします。
ライオンシリーズと一緒に読むと、ライオンの気持ちとヌーの気持ちを感じることができます。どちらも生きているのですね。
それにしても、今回のヌーの大行進は壮絶です。
群集で行動するヌーは、リーダーが行動の決定権を持っているようです。
川を渡ろうとするヌーですが、渡りやすい場所を選ぶのではなく急な場所を渡ろうとしました。
渡っているうちに斜面が崩れたものだから多くのヌーが犠牲になっています。
それでも続こうとするのはヌーの性格なのでしょうか。
皮肉にも多くのヌーを救ったのはライオンが襲ってきたこと。
犠牲になったヌーはいましたが、逃げ帰るヌーの姿にヌーの群れは引き返すことを気づいたのです。
大自然の壮絶なドラマですが、人間社会でもダブらせることができると思いました。
たとえば軍国主義の中で振りまわされた国民のように。
絵本を見ていても、私の頭の固さは変わらないようです。