「うらしまたろう」という物語から想像できない不思議なファンタジーです。
町田尚子さんの描く世界は、あくまで幻想的でどこか陰のあるイメージでいたのですが、この絵本を読んで、みやびやかという言葉を加えたいと思います。
4つの部屋の景色には圧倒され、ただただ見とれるばかり。
哀愁のあるうらしまたろうと、気性の強そうなおとひめが夫婦になるところは、どこか策略的で、大人の世界のように思えました。
山下明生の描く物語も、二人の出会いから、うらしまたろうの化身まで、別世界の「うらしまたろう」を描ききっていて、妖しい世界を完成させていました。
三段重ねの玉手箱の手鏡、鶴の羽根に驚き、添い遂げることのできなかったうらしまたろうとおとひめに悲哀を感じました。