作者はイタリアの児童文学作家のしてメジャーな人で、
イラストはフランスの多彩な経歴を持つ「ぺフ」さんです。
ぺフさんの丸々と太っただるまのような姿の兵隊たちの描き方が面白いです。
絵本の表現として面白いなぁと思ったのは、
ボンボーネ・バクレッツォーネ・フニャラロッシー大将の部隊と
バンバーネ・ヘキラッツァーネ・ホニャラロッソー大将の舞台の平服が全く同じ柄で、ほんの少し色が違うだけ。というところ。
あえてどちらもよく似ているのに、その『ほんの少し違うところ』で争っていたのかな〜と、推測しました。
人はなぜ、他人と違う何かで優劣を決めたり、争ったりするのでしょう?
この絵本では戦争の武器を作るための銅がなくなり、国中の鐘という鐘を溶かして武器を作ったというくだりがありますが、これは実際の戦争の時にもあることなので、妙な説得力を感じました。
それでいて、絵の感じがホニャララしたちょっと間抜けなキャラクタ-たちなので戦時中の重々しい空気はありませんでした。
この作品なら、学校の朝読書の時の読み聞かせで使っても、お話を聞いた子どもたちが1日楽しい気分で過ごせそうです。
「戦争を(武器として溶かされた)鐘たちが止める」という話と、同じような発想の絵本がロシアの古い作品にあります。
『みどり色のつりがね』こちらはずっしりと重たい作風ですが、やはり軍の偉い人たちだけが得をする戦争の虚しさみたいなものを描いてくれている良質の作品で、お話会などでよく紹介されています。
気質は違いますが、「キンコンカンせんそう」と似ている部分も多いので、読み聞かせなどのグループに所属している方でしたら、読み比べてみるのも面白いかもしれません。