古い郵便局と小さな公園のあいだにあるホテル。そこは人間が知らないモンスターだけのホテルです。
今回登場するのは,おんぶおばけの子供の「オンブブ」。夏休みの宿題として,たった1人で,町のホテルまで行くことになります。
このシリーズは,毎回登場するユニークなモンスターがとても楽しみです。それも,全然恐くないものばかりなので,恐がりの息子も大好きです。
今回の「おんぶおばけ」は,人間には見えず,人間の背中に乗って異動するのですが,初めて1人で町に行く「オンブブ」は様々な体験をします。
その体験の中で,自分が何もできなくても,悲しみを共有する事,その人の事を大切にしたいと思うことだけで,自分の悲しみがいやされ,自分が孤独では無いことを知ることになります。
日常の生活のほんの隣にあるように見える異世界。いつか,自分もそこに行けると思っていても,決してそこには行けない。
でも,ほんの一時だけ,その世界に行ける時がある。柏葉さんが書き続けるファンタジーは,その異世界への扉なのだと感じました。