この本を読んで、私は、この無償の愛を降り注ぐ大きな木が母で、貪欲で我儘なぼうやは、きっと自分なのだと思いました。特に、母の時代の母親像は、自己犠牲をして子供や家族のために尽くしてゆくのが当たり前という価値観でした。私は、どうしてもっと自分のしたいことをして、もう少し自分のために生きればよいのに・・・と、思ったりしたものです。でも、それは、決して嫌々ではなかったことが、今なら理解できます。求められること、自分を必要とされることの幸せ、そして与えられることの喜びを感じているから生きていけるのだと思います。
シンプルなお話ですが、読む人により、いろいろなことを感じ取ることのできる素晴らしい絵本です。