アーティスティックな表紙の絵と、おもしろそうな題名に引かれて購入しました。1ページ1ページの絵も、異国情緒にあふれ、不思議な雰囲気があります。小さい子向けではないように思うのですが、とても印象深い絵で、何か力強いものを感じます。
お話は、「ふらいぱんじいさん」のようでもあり、そこに恋のエッセンスも少し加わって、大人が読んでも楽しめる内容です。やがて、ちびっこの木は、深く、深く、根っこを張り、空に向かってずんずん伸び、とうとうパパの木よりも、ママの木よりも大きくなりました。
娘は、読み終わってすぐに、「じゃあ、もう(ちびっ子の木は)歩けないの?」と言い、それから「じゃあ、パパとママは? パパとママの木は悲しい?・・・パパとママの木は歩ける?」と、大人とはまったく違った感じ方をしたようでした。娘には、ちびっこの木が、ここに根を下ろして生きていくことを決め、「木のしあわせ」を手に入れたことよりも、パパとママの木と離れ離れになってしまった、ということが、とてもかわいそうに思えたのですね。
「悲しいお話だから、あんまりよくなかった」と言っていましたが、数年後にはどんな感想に変わっているでしょう?娘がまた読みたい、と言うまで、本棚の隅っこにしまっておこうと思います。