ともだちやシリーズの中で、私はこの絵本が一番好きです。大きなカジキを釣ろうとして連ダコを釣ってしまったオオカミにまるごとの海をつったよと伝えるキツネ。つまらない慰めや励ましではなく、初めて海を見て感動したこと、オオカミがわざわざ連れて来てくれたこと、オオカミと一緒に楽しく過ごすことが一番幸せだと知っているキツネの心のすべてが凝縮された言葉が「きょうは てんこもりの うみをありがとう!」という言葉だと思います。この言葉には愛があります。
キツネって本当に優しい子だなあ。でも友だち関係はどちらか一方だけがいい子という訳ではないのです。キツネが好きなオオカミだってプライドは高いけど、いざという時には頼りになる頼もしい優しい子なのです。「ともだちや」シリーズはどれもよいですが、「ともだちや」シリーズに出会えてよかったとしみじみ感じる一冊です。