戦争の虚しさが、文字のない絵本にしたことで、いっそう胸に迫るような気がします。
この絵本の中で、争いの発端となったのは、野に咲く一輪の花を欲しいという素朴な、とてもありふれた欲望でした。
なぜ、ネズミはカエルに、
「その花を譲ってください。」
と、交渉もせず、力づくで奪い取ってしまったのでしょうか。
なぜ、カエルもネズミに、
「その花は、私のものだから返してください。」
と、言わずに、仲間と共に力づくで仕返しをしてしまったのでしょうか。
ついには、戦争がおき、たくさんの仲間の命を失い、美しかった野原は荒れ果ててしまうのです。
お互い、たった一匹づつしか残らなかったカエルとネズミの姿が、とても悲しく虚しく、戦争の愚かさ、恐ろしさを改めて感じます。
子供には、わかるようにお話しながら読んであげ、最後にいろいろと思ったこと、どうしたらよかったと思うかなど、ゆっくりと話し合いたい絵本です。