この絵本はタイトル以外に全く文章がありません。
それだけに著者のポポフ氏の強いメッセージをひしひしと感じます。
氏は幼少の頃に鮮烈な戦争体験を持ち
世界の子どもたちに
戦争が何の意味ももたないことや、
人はくだらないあらそいの輪の中に簡単に巻き込まれてしまうこと
を知って欲しいと思ってこの絵本を書いたのだそうです。
確かにこの絵本には文章がないほうがいいなと思いました。
文にしてしまうと 何か表面的というかウソくさいというか
著者の強いメッセージはイラストから“感じる”方が絶対に良いと思うからです。
この絵本ではたった1匹どうしがわづか1本の野の花の取り合いをしたことから
ネズミとカエルの種族を巻き込み、武装された戦争へと発展してしまいます。
歴史上の戦争もささいな原因で戦争に至ったものが多々あります。
戦争からは悲劇が生み出されるばかりで何も得るものはありません。
判っていながら繰り返される現実がありますね。
悲しいことですが 今も世界のどこかで戦争はあるのですよね。
こんな愚かなことが少しでもなくなってくれればと思うばかりです。
戦争に限らず、人と人との諍いがいかに無益なものであるかが
子どもたちの心に浸透していってくれたら
深刻なイジメなどなくなるのに・・・と思います。
ラストページのどこか虚しさを漂わせるカエルとネズミの表情がとても印象的ですね。