この本は、「止揚学園」という重度の心身障害児の施設で暮らす園児たちと、園長 福井達雨先生の長男 義人くんの心暖まるおはなしです。
時は1970年代。重度の知恵遅れの子ども達とともに、施設の中で育った義人くんは、幼児期、小学校低学年期は町の子ども達が一緒に遊んでくれず、疎外と差別の中で生きてきた子どもでした。小学三年生の頃の義人くんの日記と、精神年齢推定六ヶ月くらいの園児の絵とを組み合わせて作られたのがこの絵本です。(あとがきより)
今から遡ること30年。その時代、障害者への偏見、差別は想像以上で、バリアフリーという言葉すらない時代、一人の少年の「心のバリアフリー」をどのくらいの人が理解できたのだろうか・・・ そんなことを思いながら読んでいると、涙が止まりませんでした。 実は、この本との出会いは、次男が養護学校との交流を始める前に、担任の先生に 「こわいことなんか あらへん」(同シリーズ) を読んでもらったのがきっかけでした。障害者との関わりを経験したことのない次男には、同年代の子どもの心をこめた熱い思いと、(重度の知的障害を持った)子どもの描いたインパクトの強い絵が、強烈に心に残る一冊となったようです。
このシリーズを是非、お子さんと一緒に読んでみてください。 そして 「心のバリアフリー」の第一歩を踏み出して下さい。