湖でおぼれかけていたところを助けたことから、ケティの家にチャボがやってくるようになります。動物と家族の交流物語と聞くとよくあるお話と思うかもしれませんが、これがなかなか味わい深いのです。「ふつうなら おはなしは これで おしまい……でも、おわらなかったんです!」のナレーションが3回ほど続き、そのたびに、次は何が起こるのだろうと好奇心いっぱいにページをめくることになるのですから。赤ちゃんだったケティがお姉ちゃんになるまで描かれるお話は、連続ドラマのように展開され巧みに読者をひきつけていきます。
ケティの家族がまたいかしています。お父さんはピアスにポニーテール、アイビー帽といういでたちで赤ちゃんのケティを背負い、お母さんは赤毛のベリーショートでパンク風。でも礼節をわきまえた若夫婦で、チャボのために何度も農場に足を運ぶ心優しい2人なのでした。
お話のおもしろさで満足し心がホカホカ温まる読後感は、他ではあまり体験したことがありません。タイトルもそうですが、内容もユニークで秀作です。裏表紙見返しまで味わうことが大事ですね。