どんぐりを植えていくことは小さい子どもでもできます、100粒ぐ
らいなら。でもそれを毎日続けるとなると子どもには想像もできない
のではないでしょうか。大人でさえも。ましてこの本に書いてあるよ
うに35年以上続けることは考えられません。まさに「継続は力なり」を
説明しているような絵本です。
最初から具体的な年数を決めて始めたらできないことかもしれませ
ん。今日までできたから明日もやろうと思い、その結果が35年以上の
年月になったのだと思います。
最近テレビで見たのですが、医者のいない島で急病人が出たときに、
島民を本土まで運ぶための救命艇を運転する仕事を36年間続けた人が
いました。いつ急病人が出るかわからないので、毎朝船のエンジンを
かけて船の調子をチェックし、寝る時も普段着のままです。もちろん
36年間旅行にも行けません。世の中にはすごい人がいるものだと感じ
ました。
この絵本のブフィエ氏は自分のやっていることを宣伝しません。で
すから植えたどんぐりによって広大な森林ができた時も、人々は自然
にできた森だと信じています。まさかこんなに広い森がたった一人の
人の手によってできたとは想像もできないからにほかなりません。
またこの絵本は、ブフィエ氏が作ったのは単に森だけではなく、そ
のあたりの村々と、そこに暮らす人々の笑い声や陽気な声も作ってい
ることを教えてくれています。