『春さんのスケッチブック』(汐文社)を読んだ息子に、近くの美術館に“無言館”展が来ているので行こうといわれ、先日、観てきました。
帰りに、出口近くに、ひら積みにされていた絵本の中で、知らなかったこの本を手に取りました。
『ぞうのエルマー』・『せかいでいちばんつよい国』のデイビット・マッキーさんの作品でした。
戯画風のペン画で描かれた寓話絵本という紹介にも惹かれました。
人間が本来持っている、経済的自由権(財産権)とそれを包括する人権が、皮肉なことに、背中合わせでぶつかっていることが簡潔に描かれています。
豊かさを求め、その豊かさを守り、さらに「もっと!もっと!」と増幅する人間の欲望が、人を人の道から外れた、ただの愚かな生き物に成り下がらせています。
エンデイングは、人間の浅はかな愚行の繰り返しを予測させるもので、何ともやりきれない気持ちになりました。
“歴史は繰り返す”という言葉は 、もはや今の時代、負のイメージしか連想させないものになっているようです。
今を生きる私たちは、やはり常に“戦争”という言葉に敏感であるべきだと思わされました。そして、伝えていくことも。
我が息子「人間て、欲張りだね。僕も人間だけど…。」
“無言館”展を観た直後の車中で、読んでいたので興奮気味で、「戦争が、みんなの人生を変えるって、わかんないのかね。死んじゃった人には、一人一人に別な人生があったはずなのに…。」と、しばらくぶつぶつ言っていました。