「むかしはね」ってよく言う。
「むかしだね」ってよく言いかえされる。
どこからが昔なんだろう。
この本も出版されたのは昔だ。
この本に描かれた昔だから、昔よりもっと昔のことだろう。
でも、よく考えたらそんなに変わっていない今があるような気がする。
「いまはね」ってよく言われる。
「いまの子は」ってよく言ってしまう。
よく考えたら、今もどんどん昔になっているじゃないか。
なんとなく、自分たちの子ども時代とは違っているのだけれど、子どもは子どもなんだと思ったら、「なんだ、あまり変わっていないじゃないか」と思ってしまう。
今も昔もずっとつながっているんだと、当たり前のことがとても大事に思えてくる。
気が付いたら、自分だけは年をとってきた。
「むかしは」っていうのは、子どもに対するひがみかもしれない。
五味さん。
この絵本はそんな本ですね。