なんでものろのろのぼくと、いつでもあわてんぼうのわたしが、
願い事をかなえてくれるというはっぴぃさんに会いにそれぞれの家を出発しました。
「のろのろを直したい。」「あわてんぼうをなおしてほしい。」
それぞれの願いを持って、はっぴぃさんがいるという山の上をめざして行く二人。
その道のりが同時進行で語られ、いつしかクロスしていきます。
ふたりははっぴぃさんにあえたのでしょうか?
はっぴぃさんて誰なんでしょう。
手書きの文章とやわらかなタッチの絵に、やさしさと暖かさを感じます。
その一方で、表と裏の表紙の内側に黒一色で荒々しく描かれた、殺伐とした戦場の村の絵。
そして表紙には二羽の鳩。
この絵本には、はっぴぃさんの正体も、最後の二人の願いとは何だったのかも答えは出てきません。
余分な説明はつけずに、やさしい表現で二人の子供の動きを追っていっているだけなのに、
それなのに、絵本のすべてが全身(?)で心のひだに様々な事を訴えてくる、読むほどに奥深い絵本だと思いました。