この作品を通じて描写されている、ブタさんのコツコツと本分を尽くしている姿こそが、読んだ読者を暖かい気持ちにする事ができるのだと思いました。11年間大好きなパン作りの事で頭が一杯だったブタさん。ある日、ブタさんはネズミのご夫婦からおいしいパンを作るコンクールの開催を知らされます。コンクールに出場したブタさんは、日頃の技術とアイディアでネズミ夫婦の言う「チャンス」をモノにしました。「努力をしていれば誰かが見ていて、その誰かがある日突然チャンスを持ってくる」という流れはすごくリアルだと思いました。でもブタさんのパンを買いに来た動物たちのあの幸せそうな表情をみるとそんな理屈はどうでも良くなってしまいました。この作品を読み終えた今はただ、ブタさんのパンを食べてみたいです。