1967年初版の作品。
作のビターリー・バレンチノビチ・ビアンキは、ロシア帝国時代のサンクトペテルブルクに生まれ。
1923年に「森の小さな家」でデビューし、ロシアの野山を舞台にした動物文学を著しています。
同じジャンルで活躍したことから、アメリカのシートンと並び称され、著書は200冊を超えるとのこと。
ビアンキの作品は、日本では戦後に数十冊が紹介されたようですが、この作品は現在入手可能な数少ない作品の1つとなっています。
そのビアンキの作に、日本の山田三郎さんが絵を挿入したものですが、このコラボは絶品です。
全部で見開きで9シーンしかないのですが、起承転結がしっかりしていているので、読み物としても満足できるもの。
その、きつねとねずみの会話のやり取りが、何とも面白い。
化かしあいとも言えるのですが、いつも一枚上手のねずみにしてやられてしまうきつねが、可愛そうでもあり、憎めません。
また、その絵が、巣穴の断面図を描いていて、実に斬新なもの。
きつねとねずみの立ち位置が一目瞭然で、これなら、子供にも分かり易く説明が出来ると思います。
特に最後、横穴から逃げたねずみと、巣穴を掘って落ちたきつねの絵図は、その躍動感もあって見事としか言いようがありません。
文、絵、構成とも申し分なしの、高い水準の絵本です。
文章量が多くないので、入園前のお子さんでも充分楽しめる作品として、超オススメです。