アーニャは、淋しそうな女の子でした。そして犬が飼いたくてたまりませんでした。友達から、子犬を譲り受けたのですが、お母さんに大反対をうけ、泣く泣く返しに行くのです。それが、あまりにも悲しかったのでしょうか。自分の赤いミトンが、赤い子犬に見えてきてしまうのです。
ここからが、犬を飼いたい純真な少女の空想の世界です。赤い子犬が、あまりにも生き生きと描かれているので、読んでいる私達までも、本当にミトンが犬に変身してしまったのかと錯覚してしまいます。しかし、それはあくまでも、満たされない気持ちを想像力で埋めようとする、アーニャの空想の世界でした。
子犬だと思い込んでいるミトンに、ミルクをやっている姿には、本当に胸がキュンとしてしまって、思わず彼女を後ろから抱きしめてあげたくなりました。このいたいけな姿に、さすがにお母さんも、たまらなくなり、犬を飼ってもらえるようになるのです。
きっと、お母さんは、犬嫌いだったのでしょう。でも、実際飼ってみると、子犬ってたまらなくかわいいものだってわかるのです。だって、アーニャのお母さんだものね。
あまりに、愛らしく素敵なお話に、元となったロシアの映画が観たくて仕方がなくなりました。