アナグマさんのお店で見つけたそらいろのヨット。カードには、「ビーバーさんの作品。いいものと交換します」と書かれていました。カワウソのボビーは、そのヨットと交換できる「いいもの」を一生懸命考え、探し続けます。
本当にいいものって一体なんだろう? 自分の趣味や価値観ではなく、相手にとって1番うれしいもの。それを探すために、相手の気持ちになって考える・・・これは、大人でも難しいことですね。ボビーは、最後にビーバーさんが「いつまでも喜んでくれるもの」を見つけ、晴れてそらいろのヨットを手に入れました。
娘も、「いいお話だった」と言い、アナグマさんの真意がわかったようでしたが、ただ、贈り物を受け取る側としても、同じように「相手の気持ち」を大事にしてあげたいな、という思いが残りました。たとえ「いつまでも」その形や色を留めないものであっても、その瞬間に、相手のことを本当に心から思って、「これをプレゼントしてあげたい」と感じたその気持ち ―――それこそが、受け取るほうとしても、何よりもうれしく、大切にしたい宝物だと思うのです。
娘もボビーと同じく、落ち葉や小石を大事そうに集めては、私にプレゼントしてくれます。つい数日前にも、山で拾った赤や黄色のもみじの葉っぱを、「ばあばのお誕生日にプレゼントしてあげるんだ」と言って、画用紙に素敵な貼り絵を作ってくれました。私がアナグマさんなら、たとえ落ち葉でも小石でも、そのときに、ボビーの心の目に映った美しい色を、ずっと心の中に大切にしまっておきたいな、と思うのは、やはり親心からなのでしょうか。