え? あの『かいじゅうたちのいるところ』のセンダックがグリム童話?と思って、図書館で
偶然見かけて借りて帰ってきました。
1816年にグリム兄弟の一人が母親を亡くしたミリーという少女に手紙を書き、その子の
為に書き下ろした話だそうです。
内容は、母一人子一人の親子が住む村に戦争が近づいてきて、母親は娘の命を守りたい
一心で娘一人を森の奥へ3日間逃げさせるという話です。そこで、娘はおじいさんに出会い、
無事に2日間を過ごし、3日目に家に戻ると、30年が経っていて、老いても待っていた母に会
うという話でした。
センダックの絵がとても見入ってしまうような絵で、話の濃厚さをより厚いものにしています。
本当に必見です!
でも、私の心に何よりも響いたのは、物語が始まる前に書かれたグリムの手紙の一節でした。
そこには、川に流された一輪の花と、夕日が落ちていく中、一羽でとんでいた鳥の話が例に
出され、私達が知らないところで、片割れに出会うことが書かれていて、その当時の人間
には、肉体としては、鳥や川を流れていく花のように川や森や山をへだてて片割れ(愛するも
のや仲間)に出会うことが出来ないけれど、人間の心は、なにものにもへだれられることがな
く届く、と手紙を書いた理由が書かれていました。
私のつたない言葉だと上手く説明できませんが、なんだかジーンとくるものがありました。
思いは、形を変えても伝わると信じたいものです。
余談ですが、とても真面目に描かれているセンダックの絵ですが、何箇所か、ん?と思う
ようなセンダックのいつものいたずら心?みたいなものが表れている箇所を発見して、
濃厚な話の中でクスとしてしまいました。
機会があったら是非、読んでみてください。