深いな、と思います。深刻にではないけれど、異質なものに対する社会の違和感や、異質であるものが自分を肯定してゆくための過程がさらりと描かれていて、その「さらり」さ加減が、とてもいいです。
こねこのあおい目は、他のみんなとちょっと違う。だけどそれでも、こねこはねずみの国を見つけることができました。ちょっと違うことなんて、大した問題じゃないんだよ、自分が思う通りに自分を信じていいんだよ、と語りかけられているような気がします。
今は何気なくこの本を呼んでいる子どもたちも、きっと大人になる過程のどこかで、「わたしはだれ?」という疑問にぶつかる日があるだろうと思います。こと、もし自分自身がマイノリティ的な立場にたったときに、その疑問が苦しいほどに子どもたちを悩ますことも、あるかもしれません。子どもって、きちんと言葉にできなくても、全身全霊で悩むんじゃないかと思うんです。
例えばこういう本は、そのときに、彼ら彼女らのこころを支えてくれるんじゃないかな。親には手の届かない、こころの深みにまで沁み通ってくれるんじゃないかな。そんな気がします。