クレメント・ムーアの有名な詩(数年前、オランダ系のヘンリー・リビングストンが本当の作者ということが判明したらしいですが……)を、ロバート・サブダがしかけポップアップ絵本にした作品。表紙の印象通り、白中心のデザイン的なポップアップが造形美を堪能させてくれます。どちらかというと小学生以上、大人向けの絵本? とても繊細なデザインなので、小さなお子さんには向かないかも。でも、詩の邦訳はどちらかといえば、子どもを意識している感じです。リズムがあって、楽しい雰囲気。ねずみたちが主人公になっているところも、ほかの作品と違って可愛らしいかもしれません。
最近のポップアップ絵本はちょっと信じられないくらいの懲りようです。(たとえば『不思議の国のアリス』など。そこに見事な3Dワールドが展開されていて、どれもため息物といった感じ。)サブダの作品はその手のものに比べたらいくらかシンプルで、それらのスーパー3D絵本の先駆け的な役割を果たした作品といえそうです。