すごい絵本に出会ってしまいました。大作絵本です。北極圏ラップランドに住むサーメ族の夏の終りから冬にかけての生活を紹介する作品。作者は実際に7カ月間、サーメ族と生活を共にして体験したことを描いたといいます。
サーメ族がトナカイを放牧して生活するスタイルは、モンゴルの遊牧生活に似ているなと思ったら、サーメ族の祖先はシベリア地方から西へ西へと移動してきたサモエド人(シベリアに住むモンゴル系の人々)ではないかと言われているそうです。トナカイたちはコケを食べて生きていくので、常に場所を移動させなければなりません。ここでも夏の村、秋のテント村、冬の家、春のテント村とサーメの人々は移動して生活することが描かれます。
息子をとらえたのは、トナカイとの生活。肉をくんせいにしたり、内臓をソーセージにしたり、皮を靴やズボンにしたり、すごく興味を持ったようです。トナカイの群れが雄大な自然の中に描かれる場面は、「うわ〜」と声を上げていました。雪の中のテント生活も、魅力的だったようです。
また、民族衣装がかわいいのですね。宗教はキリスト教のようで、クリスマスの礼拝風景は、赤い衣装の色が印象的でした。トナカイを売ったお金で一年の生計を立てるというところなども現実的で好きでした。こういう異文化紹介、理解の絵本は個人的に大好きです。同じ作者がネパール・チベット族の子どもたちの暮らしぶりも作品にしているということなので、(たぶん邦訳はされていないのでしょうが)目にしてみたいなと俄然興味が湧いてしまいました。
かなり長いお話です。対象は小学生以上。絵がすばらしいです。