10月、父さんは荷車に牛をつなぎました。それから家中の皆でこの一年間に作り育てたもの何もかもを荷車に積み込みます。父さんは、それを町へ行って全て売り、そのお金で家族へのおみやげを買って家に戻ってくるのです。
そして、季節はめぐり、新たな一年間が始まります。季節も人も永遠に同じ事の繰り返しをしているようで、少しずつ変わっていきます。男の子がほうき作りに使うナイフは、料理ナイフからバーロウナイフに変わり、指なし手袋を編んでいた女の子は、今年は刺繍をする・・・という具合に。同じ事を繰り返しながら、少しずつ豊かになっていく生活を垣間見るのは、なんと心地良いものでしょう。
子ども達は、どちらかというと、父さんの品物がどのように売れたかに関心が集中していました。家に戻ってから、どのように品物を作るのかも、食い入るように見ていました。今では、父さんが家で仕事をする家庭はとても少なくなりました。母さんがリンネルを仕上げる家は、皆無と言ってもいいでしょう。日々の生活の中に、家庭の温かさがある。というすてきな絵本です。
[読んで聞かせると6分位/4歳位から]