この本は、私にとって強烈な印象を残した本です。
はっきり言って、好きではありませんでした。
たぶん、母が、どこかですごい本らしいという評判を聞いて買ってきたようで、欲しいというのではなくて、与えられた本でした。私が4歳か5歳の時でした。
絵が嫌いでした。鼻の穴がぐりぐりと描いてあるところや、いつも歯をむき出してニッとしている形の口も。嫌だったので、ページ(絵のないところ)にハサミで切り込みを入れました。そして、この本が嫌いな自分のことを、母に対してすまないと思っていました。
こういう子ども心に屈折した気持ちを抱いた本だったので、何年も見ていなくても、手元になくても、はっきりと覚えています。
頭で考えると、内容は素晴らしいと思います。絵も画期的なものだと思います。
でも、自分の子どもに読み聞かせることはないでしょう。
「大好き」とは別の意味で、私の心にずっと残っている本です。