どうして百年も、わらえなかったのだろう?
どうしてひとりぼっちだと、思うのだろう?
どうしてがんばれガンバレ、つぶやきたくなるのだろう?
どうしていじめは、なくならないと言うのだろう?
自分のままをさらけだす? つらぬく? がんばる? どれも違うように私には思える。生きるものはゼロから生まれたのではないこと、一人でいられないことを知っているからだ。見ること、聞くこと、話すことを失った偉人も、なくして一番辛かったことはそれらではなく、他とのコミュニケーションだと語ったことを思い出す。
はなしの後ろを、前を、おぼ画伯の力強い絵力が覆っている。大木の凛々しさ、威厳を絵筆がなぞり出す。百年という時間の大きさに負けない色のいのちが、ページいっぱいに溢れている。あぁ、絵本だなあ、そう実感してしまう。
伝えたいおはなし、知ってほしい現実、見てほしいこの絵。他とのコミュニケーションを求めて、ありのままだ。生きていること、それがきらきら光っている。
作家中野美咲に感謝、おぼ画伯、くもん出版に感謝。