ねこは当然魚が好きでしょうが、昼も夜も、もしかしたら毎食食べているかも思えるほど、さばが好きなねこがいました。そのねこに突然、空飛ぶ!さばの大群が襲いかかります。ねこに食べられたさばの亡霊かと思いました。「さばを くっただろ」と死んだ目をして執拗に追いかけて来るさばに“ぎょっ”と寒くなります。恐怖にかられたねこは、「おれは ねこだぜ!」と虚勢を張りますが、逆に、気が小さいことを露呈している様にしか見えません。
しかしねこには、いつも肌身離さず身に付けている、自分の型ともいうべき帽子とパイプを持っています。いつもの格好に戻ったねこの表情は、一変して別人格のよう。何の迷いや不安も見当たりません。
また「こんやは さばでも くうか」と呟く、いつものねこがそこにいました。
いったい何が言いたいお話しなのか、一度では到底わからなくて、何度も読み返してしまう、そんな魅力が佐野洋子さん作品にはあります。。「100万回生きたねこ」や「さかな1ぴきなまのまま」など、70年代には色んなねこの作品を発表されました。おそらくねこ好きであることは間違いないでしょう。それを感じさせるタイトル「猫ばっか」という作品も是非読んでみたいです。