村山由佳さんの話はとても心に響いてくる作品ばかりなのですが、この絵本に関しては、さらに、これ以上の親子の愛情はないと思うほどすばらしい作品です。
地球から恐竜が姿を消す最後の瞬間。
肉食恐竜ティラノザウルスのティランをわが子のように育てた草食恐竜のお母さんサウルス。
わが身を食べて生き延びろと伝える母親と、自分とは性格も食べ物も違う恐竜を母と慕うティラン。
死んだ母親を、傷だらけになりながら他の肉食恐竜から守り続けるティランの姿は壮絶です。
実の親子ではないのにこれほどの愛。
話の前半は、夫を亡くし子どもたちを失った母親の悲しみで始まるのですが、憎むべき肉食恐竜のたまごに愛をそそぐお母さんサウルス。
読んでいて心しめつけられる思いでした。
この感動を息子は分かってくれたでしょうか。