三十代も半ばを過ぎた頃から、自分の暮らしに精一杯で、足元ばかり見て生きてきたような気がしていた。この絵本に出会ったのは、国語の教科書。原本を手に入れて何度も読んだ。心がスーッと軽くなって、ふるさとへ飛んで帰りたくなった。これはもちろん子供の絵本だが、もしかしたら大人へのメッセージなのかもしれない。疲れたとき、悩んでいる時、思い出すと笑みがこぼれるのは、遠い懐かしい自分。主人公を、長い年月、変わらずに待ち続けた恐竜との再会の場面は、不覚にも涙が出た。ふるさとで、いつもだれかが私のことを待っていてくれるんだと思うだけで、明日も頑張れる気がしてくる絵本です。