やさしくてせつなくて、人間っていいなと思える本です。
花さき山の花は、人間のやさしい心が咲かせています。
迷い込んだあやに、やさしく山姥が語りかけます。
自分より他の人のことを考えるやさしい人のせつなさや涙が花を咲かせるのだと。
山姥は何でも知っていました。
あやがどんな思いで花を咲かせたかも、同じようにせつない気持ちをもっている人がいることも。
他の人のことを考えて、自分は我慢するって、難しいです。
でも、みんなが周りの人のことを考えることができたら…と思います。もちろん、涙をのんでそうせざるえないときもあります。
そんなとき、あやみたいに「今、花さき山で花が咲いた」って思えたら、前向きになれるし、もっとやさしくなれると思いました。
実は、子どものころは絵が怖くて読まなかったのです。大人になってはじめて読んで、こんなにやさしい話だったのかと…。
それ以来、私みたいに怖がって手に取らない子もいるので、山姥の代わりとばかりに機会があればよみきかせをしていますが、何回読んでも泣きそうになって困ります。
あやと同じ10歳の子どもたちに読むことが多いです。
自分では絵本はあまり読まなくなる年齢ですが、静かに耳を傾けていました。
終わっても誰もしゃべりません。しばらくして、夢からさめたように話し始めました。
斉藤さんと滝平さんの魅力に改めて気づかされました。