ジェインのもうふは、心理学用語でいうところの移行対象と言われるのもです。有名
なところではスヌーピーに出てくるライナスのもうふがありますね。
うちの娘にも移行対象があります。眠るとき、さみしいときはそれをにぎって、指で
さすりながら、鼻に近づけてくんくんとにおいをかぎます。
そうするととても落ち着くようです。寝る前にいつも、どこ?と親子で探しまくり、
見つけた人が必ず「あったあった!」と叫ぶので、娘のそれは「あったあった」という名前がつきました。
さてジェインのもうふは、ジェインの成長を見守りながらだんだん古びていきます。
ジェインも大きくなるにつれて、もうふなしでも平気な時間が増えていきます。
それでもジェインにとって大切な大切なもうふには変わりません。
そして最後にもうふは・・・
ある日窓辺にやってきた鳥が、ジェインのもうふをついばんでいきます。
とまどうジェインにお父さんが、教えてくれます。
もうすぐ生まれてくる小鳥に、あたたかい巣を作るためなんだよ・・・と。
鳥のあかちゃんをあったかくするために、もうふを譲るのね・・・と納得するジェイン。
ジェインの心の中でずっと生きつづけるもうふを感じ、成長した自分をほこらしく思
う。もうふとの別れの瞬間がとても美しく描かれています。
読み終えたあと娘が、私のあったあったはまだ鳥さんにあげなくてもいい?と不安そうに
聞いてきました。もちろんよ。でもいつか娘にもジェインの気持ちがわかる日が来るでしょう。
子供の成長する姿が、とても生き生きと描かれていて、またジェインのイメージにぴったりの挿絵も子供の可愛らしい表情、しぐさがいっぱいで見ていてついほほえんでしまいます。
移行対象のあるお子さんはもちろん、そういうものがなかったお子さんにも共感してもらえると
思います。