もうじき5歳になる息子がとても気に入っていて、一時期、毎晩読んでいました。ある日ぱったりと持ってこなくなったのですが、読みすぎて少し飽きたのかな?くらいに思っていたんです。
ある日、息子がいつも持ち歩いているくまのぬいぐるみのことを、こう言いました。「ずーっといっしょにはいられないんでしょ?僕がおとなになって、おじいちゃんになるまで一緒にはいられないんでしょ?だから、いまはとっても大事なの」。
赤ちゃんの頃は一日中「もーも」にくるまっていたジェイン。だんだん大きくなるにつれて「もーも」と離れていられる時間が長くなってゆきます。でもやっぱり、「もーも」のことが大好き。最後にはもう、ジェインには必要なものではなくなるけれど、それでも「もーも」のことは忘れないし、忘れなくていい。そんな風に、自分自身の気持ちを自分で受け入れられるようになることを、「成長」というのかもしれません。
成長することの喜びと切なさ。相反しながらも微妙に絡まり合うこの2つの感情と、これらが織りなす、ささやかな人生の転機。鮮やかに子供に伝えてくれたこの本の力に感激しました。子供のお話だけれど、真の文学作品だと思います。
ジェインみたいに、あなたもやっぱりくまさんと、お別れする時がくるだろうね。でも、おとなになってもおじいちゃんになっても、くまさんのことはずーっと大好きでいていいんだよ。ジェインも「もーも」のことは忘れないんだよ。息子にはそういってやりました。