タイトルの「なんだったかな」の通り、内容は本当そのまんまで
自分が 動物園で初めて見た素敵な動物がなんだったか、
一生懸命思い出すストーリー。
どうしても思い出せなくて目をつぶると、その暗闇の中に
ある黒い動物が…。
インパクトのある原色の色使いが素敵☆
読み手まで、姿の見えない主人公と一緒になって「何の動物だろうな?」と考えて楽しい。
シンプルなので、幼児から小学校低学年まで幅広く楽しめそう。
読み聞かせにも使えそう。
今江祥智さんのあとがきに次のように書かれている。
この絵本が初めてお目見えしたのは’67年のことで、
何と35年も前のことになる。
「カラー・ブック」と銘打ち、12人の作家と画家が
それぞれの“色”を受け持って物語を考え絵をつける
という企画だった。
組む作家は、はなから長さんにお願いするつもりで
色も好きなブルーやホワイトをと思っていると、
お前さんは一番若輩だから残ったものでやるんだよ、
と先輩達に言われ、オシマイに残った“黒”になった。
−あのときはもう、目の前が真っ黒になってしまって…
と長さん 呟かれたが、そこを逆手に取った発想が
かえってユニークな物語を生み出す力になった気がする。(中略)
その後 絶版になったのだが、20年ばかりして理論社から
1冊本として出版された。前のままで充分 新鮮だったが、
長さんは絵を全部新しく描いて下さった。(後略)
この あとがきに、長 新太さんの仕事の姿勢というか、生き方が表れているよう。
この評価を書く2週間前の、2005年7月1日。長 新太さんの告別式が執り行われた。
この絵本の作者である今江祥智さんは弔辞を読まれた1人だったとか。
長 新太さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。m(_ _”)m