オールズバーグの作品は、文章や絵に描かれていないところが恐ろしいという、底知れぬものがある本が多いのですが、やはりこの本もそうでした。
一読した時は、結局なんだったんだろうという物足りなさを感じましたが、船員達が変化してしまったページは、鳥肌が立つくらいぞっとしました。
その他のページは、肝心なものは正面きって描いておらず、「ちょっとどうなってるの?」というもどかしさが残ります。
でも、後からまた読むと、そのもどかしいページが、じわじわと怖いのです。何かが潜んでいるような気がして。
結局最後まで、つかみ所がなかったのですが、なんだか不安になるような読後感でした。
それにしても、表紙が一番疑問なのです。
途中にも出てくる絵なのですが、これは一体何を意味しているのでしょう。なぜ表紙にこの絵を持ってきたのでしょう。
決して不愉快ではないのですが、考えれば考えるほど、不安をあおる絵本です。