タイトルからイメージした「ぼく」と「あいつ」の関係が全く予想を外れたお話で、それば妙にストーンと心に落ちて行きました。
大好きなおじいちゃんの死。
おじいちゃんと聞いてイメージを作り上げたら、子どものころからお世話になった隣の家のおじいちゃん。
畑をはさんで離れて暮らしているけれど、家族同然のおつきあいをしていたおじちゃんでした。
先回りする想像を次々とかわしていくお話の展開で、お葬式の日に僕の前にヒサオという少年が登場します。
走るのが得意だったはずの自分と競走をして、速さを見せつけたヒサオは走り方のアドバイスをしたあと、ユズの木の根元に埋めてあった缶をユウコに届けてくれるように頼みました。
ヒサオって誰? ユウコって誰?
走ることと結びついたエピソードと、おじいちゃんとおばあちゃんのエピソード。
人の死という哀しみの中に、心温まる物語が展開されて、気持ちの良い裏切られ方をしました。