セピア色のトーンで描かれたこのお話は、まるで昔の映画を見ているよ
う。
戦争のために、離れ離れになっていた父と娘の気持ちが、会話と行動
によって、徐々に歩み寄っていく様が、丁寧に描かれています。
戦争という重い背景があったからこそ、つかの間の、忘れがたい記憶とし
て、鮮やかに心に残ったのでしょう。
そしてその強い思いが、この本を誕生させたのだと思います。
父親が、娘に正直に向き合って、本心で会話しているところや、さりげ
なく気持ちに寄り添ってくれるところが、あたたかな感動を誘います。
直截的ではないですが、静かな反戦絵本ではないでしょうか。