1954年(昭和29年)に封切りされた映画「ゴジラ」は大ヒットとなり、翌年にはその続編が作られています。
題して、「ゴジラの逆襲」。
この時のゴジラは1作目のゴジラとは別の個体として設定されていて、新たにアンギラスという怪獣と戦っています。
つまり、一度は人間の叡智によって退治されるゴジラですが、再び日本を襲ってくるというので「逆襲」と付けられたのでしょう。
長谷川集平さんの絵本『トリゴラス』は退治をされたわけではないのですが、再び登場するということで「逆襲」と付けられています。
『トリゴラス』の出版が1978年、そしてその続編であるこの絵本が刊行されたのが2010年。実に32年の歳月を経て、続編が発表されたということになります。
ある夜、大きな風の音を聞いた少年は「トリゴラス」が町にやってきたことに気づきます。
そして、「トリゴラス」は少年の大好きなかおるちゃんを連れ去って去っていきます。
ここまでが、最初の絵本のお話。
そして、ここからが続編の絵本のお話になります。
また別の夜、少年は大きな風の音を聞きます。「トリゴラス」だということを少年はすぐに気づきます。
今度はなんと少年の家に「トリゴラス」がやってきて、少年をかおるちゃんの時のように連れ去るのです。
「トリゴラス」が向かったのは、遠い南の島。
なんとそこには、かおるちゃんがいるではありませんか。
しかも、続編のかおるちゃんはすごく色っぽくなっています。
かおるちゃんは少年にこう告げます。
「これね、わたしのゆめのなかなの」。
ええーっ、かおるちゃんがそんなこと言っていいのでしょうか。
「あなたといつかこうしてふたりきりになりたかった。」なんて。
かおるちゃんの夢ではなく、少年の夢です。
少年の夢ですから、少年は色っぽいかおるちゃんをどうしてもいいのですが、町が「トリゴラス」の襲われていることを思って、こんなことではいけないとかおるちゃんには何もできません。
長谷川修平さんは32年ぶりに「トリゴラス」の続編を描いて、結局少年の性を開花させることはしませんでした。
「ゴジラ」シリーズでは第3作めでキングコングと対決するのですが、果たして少年の欲望はキングコング化するのでしょうか。