この冬最後の寒さがやってきた日、森で一番背の高いけやきの木が、倒れました。
倒れた時、けやきの木は言いました。
「そらが あんなに とおくに あるぞ。 わしも もう おしまいだ」
でも、おしまいではなかったのです。
倒れたけやきの木のそばに小さな草や花、虫たちが集まってきて、空の話を聞きたがりました。
りすやうさぎがやってきて、木にまたがりたいという夢を叶えました。
木登りが苦手な動物たちが、遊びに来るようになりました。
周りの木々も、けやきの木が倒れたことによって日当たりが良くなり、どんどん伸びていきました。
けやきの木は、幸せでした。
倒れたからって、おしまいではなかったのです。
生きていると、大小様々な失敗や挫折を経験します。
それによって、
「おしまいだ」
と多くの方が思うでしょう。
でも。
それは違うよ。
おしまいではないよ。
この絵本は、一本のけやきの木を通して、そのことを教えてくれているようです。