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やくそくのどんぐり」 ヒラP21さんの声

やくそくのどんぐり 作:大門高子
絵:松永 禎郎
出版社:新日本出版社
税込価格:\1,650
発行日:2010年09月29日
ISBN:9784406053761
評価スコア 4.33
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  • 韓国の原爆被災

    日本は唯一の原爆被爆国だと思っていました。
    しかし、広島原爆の被災者は日本人だけではなかった。
    自分たちがどちらかといえば避けて通りたいような事実に基づいたお話です。
    「広島、長崎には十数カ国の被爆者がいたそうです。とくに、韓国・朝鮮の人が広島だけで五万人が被爆、三万人もの人々がなくなったことは、案外知られていません。」と後書きにありました。
    まさに、知りませんでした。
    当時、国内にいた外国人はどんな人でしょう。
    捕虜として広島にいた人もいたでしょう。
    しかし、この話は日本の朝鮮侵略という歴史的事実といかに多くの韓国人が日本にいたかということを知る話でもあります。
    強制的に日本に連れてこられた韓国人、騙されて日本に連れてこられた韓国人。
    搾取と差別の中で彼らは翻弄されました。
    そして広島の「ピカ」。
    戦争が終わっても差別は終わらなかった。
    そして、今日の韓国の強い日本への糾弾があります。

    この絵本の主人公は在日2世。
    日本名を名乗らなければならなかった時代に、差別に会いながら生活している広島で原爆を被災しました。
    それから韓国に帰ったものの、原爆症と闘ってきた。

    しかし、この絵本は大人の視線で描かれていません。
    主人公には日本人の友達がいて、広島では友だちが死んでしまった。
    つらいこともあったと思いますが、大人の蔑視の中で友情がとても友情話がすがすがしく感じられました。
    どんぐりは、友だちとの友情の印。
    広島に来て治療ができることになった時、こころ温かい日本医師もいました。
    治療を終えて帰国するときに、平和公園でみつけたどんぐり。
    医師との交流、助けられて書いた自分史、持ち帰ったどんぐりが韓国で育っていること…。

    決して日本だけが被害者ではない。
    自分たちもひどいことをしたのだという自責。
    そして、心の触れ合いが理解を産むのだということ。
    事実と先入観に左右されない崇高な事実を通して、子どもたちに伝えたいことがいっぱい詰まっていました。

    投稿日:2011/01/26

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