私は、あかてぬぐいのおくさんと違って裁縫が苦手です。好きだけど無器用で、授業での作品の提出はいつも遅れました。でも、小学校の家庭科で初めて裁縫箱を手にしたときの、何とも言えない感動を思い出します。ひとつひとつの道具の存在感、どれもこれも宝物でした。
道具そのものの擬人化で思い出すのは、ディズニーの「美女と野獣」の時計やら蝋燭やら食器達に目鼻手足がついているもの。あれもまたおもしろくて好きなのですが、この本の道具は、形はそのままで丁寧に描かれ、そこに言うならば精霊のような形で「ひとがた」が寄り添っています。この描き方が、私が初めて裁縫箱を開けたときのイメージにつながるのです。(そういえば私は、ピアノの教則本にも「これは王様でこれは女王様で、これは王子様」と勝手にイメージをつけていたことも思い出しました。)
道具達の主張、よくわかりました。あかてぬぐいのおくさんのようには使いこなせないけど、これからもよろしくお願いします、と言いたいです。