ドロシー・マリノは、1912年、アメリカ、オレゴン州のポートランド生まれ。
調べたら、今年(2011年)の3月12日に亡くなっていました。
98歳ですから、正に大往生というに相応しいものです。
この作品は、1961年の初版で邦訳は2011年1月。
亡くなる直前の邦訳ということになります。
物語は、主人公のスティーヴィーが、朝子犬を見つけるシーンから始まります。
パパとママは、直ぐに誰かの飼い犬に違いないと思います。
パパは、的確にどうすべきかをスティーヴィーに諭しながら、一緒に持ち主を探すのですが、実に模範的な行為でしょう。
パパはこうありたいもの。
そして一通りの作業を終えると、パパとママは、スティーヴィーに子犬と共に近所を歩くように指示するのです。
生後6週間くらいの子犬なので、そんなに遠くから来たのでないのは明白ですから、的を得た指示に違いありません。
最後、持ち主が現われてからの結末が、何とも言えません。
スティーヴィ−にとって、最高の出来事であり、おそらく聞き手にとっても一番期待した終わり方だと思います。
ほんの1日の出来事を、淡々と描いた作品ですが、心に残るもの。
ニ色刷りの絵は実にシンプルで、その文体も自然なものなのですが、それが逆に今風の派手な作品から比すると、安心して読み聞かせすることが出来る気がします。
昨今、こうした古典的な名作が多く邦訳されるようになりましたが、非常に好ましいことで、多くの人に読んで貰いたいと思います。
パパに読み聞かせして欲しい作品です。