ジーン・ジオン/文、マーガレット・ブロイ・グレアム/絵というコンビの作品ですが、1954年の「どろんこハリー」でつとに知られています。
この作品は、1956年の作品で、邦訳は2011年。
表紙をめくると、こうありました。
「さむい ふゆも もうおわり。
まちどおしい はるは すぐ そこ。
でも、ことしの はるは なかなかやってこなくて……」
絵自体にも、色がなく冬の様相を呈しています。
みんなが春が来て欲しいと願う中、男の子が待つんじゃなくて、僕達で街を春にしようよ、と提案するのです。
その提案とは、街を春でペイントしてしまおうというもの。
街中にペイントするのですが、これってある意味、子供には憧れのはず。
いつもは落書きしないように言われているのが、自由に描けるのですから。
沢山の子供が描く姿に、自分を投影して楽しめるシーンだと思います。
ところが、その晩に、激しい雨が降ったために、みんなが描いた絵がきれいさっぱり流されてしまうのですが、この雨が恵みの雨となり、後半の展開に続くのです。
絵が三色刷りというとてもシンプルなものですが、それでも、春の到来を上手く表現しています。
さすがに、55年前という作品ですから仕方のないことだと思いますが、人びとのワクワク感が十二分に伝わってくるものです。
2歳位からのお子さんに読み聞かせをして欲しい古典的作品です。