ひと冬越すっていうことは、野に住む動物には辛いことでしょう。
こうさぎが食べ物探しに出かけて、かぶを二つ見つけます。
一つを食べて、思いはろばさんへ。
ここから驚きです。
自分も食べ物に窮しているのに、残ったもう一つのかぶを他者へと考えるこの優しさ。
「分かち合う」というできそうでなかなか難しいことを、なんとも軽やかで自然におこなうこうさぎ。
そして、この小さな親切を静かに(本文では、“そっと”)おこなう、徳の高さ。
こどもたちは、繰り返し的なお話しにはじめは惹かれ聞いているでしょうが、この素晴らしい優しさに各ページで触れ、「親切」ということが無垢な心に自然にしみ込んでいく作品だと思います。