魚釣りをして、夜になり、道に迷った三平が、一晩泊めてもらうことにした山の家は、なんと猫ばばの家だった。そうとも知らず、寝ていると、白い猫に起こされた。なんとそれは、三年前に迷い猫になったニャンコで、座敷にいた子供たちは、みんなさらわれた迷い猫で、早くしないと、猫ばばに食べられてしまうから逃げろというのである。
ニャンコと一緒に逃げるのだが、それが何ともスリリングなのだ。他の猫たちも、猫ばばに言われるままに追いかけてくるのだが、ここに三平と、猫ばばの間で交わされる言葉に、猫達の気持ちが、あっちにいったりこっちに行ったりで、はたしてどちらにつくかで、勝負が決まります。何だか読んでいて、ドキドキ、ハラハラしてしまいます。
滝平二郎さんの描く、猫ばばは、本当に恐ろしいので尚更、怖くなります。
人のものを横取りするのを「猫ばば」というのは、こんなお話しから由来しているのでしょうか。