川端作品でおなじみのお化け達が、最近人間が怖がってくれないのでひまだから、というわけで、お化け屋敷と称して人間に会おうとします。やって来たのは少年少女の二人連れ。怖がって入ろうとしない少年を少女が引っ張って、二人は中に入ります。
なんて、現代的な二人連れなのでしょう。我が家の長男は女の方が強いし怖いと言っています。学校でいつも、ぼこぼこにやられているのでしょう。
中に入っても、お化けの姿は見えません。ただ、なんとなく、なにかがいる気配がします。座ってお茶を飲む二人。この当たりから少女の表情もだんだん、心細そうになってきます。(少年は最初から怖がっているのですが。)なにかがいそうだ、という怖さ。これは、本当のお化け屋敷でこれでもかこれでもかと不気味なものが出てくるのとは違った、心の底からの怖さではないでしょうか。
結局二人はお化けとは対面せずに(実は一人と会っていますが、それとは気がついていません)帰って行きます。でも、きっと帰ってからもしばらくは怖い気持ちが残ることでしょう。
読んでいるこちらは平気です。川端お化けは気のいい奴らで、こわくなんか無いことをしっていますから。