ケニア出身の女性環境保護活動家のワンガリ・マータイの自伝の絵本。
彼女は、2004年に「持続可能な開発、民主主義と平和への貢献」のため、環境分野の活動家としては史上初のノーベル平和賞を受賞しています。
また、2005年2月14日から10日間、京都議定書関連行事出席のため来日した際、「もったいない」という言葉を知って感銘を受け、「MOTTAINAI」キャンペーを展開し、日本でも馴染み深い人物でもあります。
ただ、残念ながら9月25日に癌で死去されました。
御年71歳でした。
ケニアでは、マータイさんの国葬を行うと発表しましたが、その功績からすると当然かも知れません。
彼女の伝記の絵本は、この作品のほか「その手に1本の苗木をーマータイさんのものがたりー」「ワンガリの平和の木」があります。
特に、ジャネット・ウィンターさんの「ワンガリの平和の木」は、グリーンベルト運動と言う言葉に相応しい構図と、その課程で女性が生き生きと変貌していく様が平易に書かれていたことで、伝記とはかくありたいと高い評価をした記憶があります。
この作品は、他の2冊とは大きく異なりました。
マータイさんの半生の記載は殆どなく、困った人がやってきたことに対し、植樹による解決法を伝えるというシーンが続きます。
正に、題名にケニアの木々とある通りの展開です。
巻末に説明がありますが、木というのは目的によって用途を考えると、実に沢山の効用があるのだと関心させられました。
そして、その際、必ず記載されている言葉が
「ザァユ・ニュンバ」(人々に平和を)
この言葉は、マータイさんの活動精神そのものです。
一本一本の木で国を変えたということを、実に分かりやすく伝えている作品です。
難しいことは一切なし。
マータイさんの政治活動とかに触れることがないので、他の2冊に比較すると低年齢向きと言えると思います。
また、この作品の絵は、油絵とプリント地の布を組み合わせて描いたもの。
アフリカ文化のテキスタイルの鮮やかな色彩が上手く表現できているので、とてもマッチした画法だと思いました。
マータイさんの入門編として、小学生のオススメの作品です。