2011年度読書感想文全国コンクール小学校中学年の部課題図書。
「シジミ」「食卓」という言葉から、食育のようなストーリーかと思いましたが、
ちょっと不思議な、高齢化社会も感じさせる物語でした。
小3のかんこは、兄が拾ってきた犬を触らせてもらえなくて、
不機嫌なのです。
そんな時出会ったのが素性の知れぬじっちゃん、風助さん。
かんこは、こともあろうに、風助さんを拾って帰ることにするのです!?
出会いの場所が、表題の「ヤマトシジミの食卓」。
ヤマトシジミという小さなチョウがたくさん集まってくる、空き地の平べったい石のことなのです。
老人の風助さんから、様々な感化を受けるかんこ。
だんだんと風助さんの素性が明らかになります。
風助さんの死という知らせ、という衝撃的な冒頭から、引き込まれます。
いうなれば、ホームレス老人を受け入れてしまったかんこの家族。
風助さんの独特の存在感が、ページを引っ張っていってくれます。
かんこの、この年代らしい友情エピソードもキュートです。
老人問題にもそっと触れてあるのですが、重々しくなく、
チョウの生態のことも興味が持てそうです。