せなけいこさんの作品としては異質感のある、アイルランド民話の絵本です。しかも、ご自身が再話もしていることに、せなさんの意欲を感じました。
そして、後書きをみて納得できました。
せなさんとお父さんとの思い出のアイルランド民話だったのですね。
アザラシのような人魚とジャックのお酒を通しての交流はとても微笑ましく感じました。
でも、その裏に海の底に閉じこめられた人の魂ということが、とても気にかかります。
船が難破して命を落とした人の魂が、成仏できずに閉じこめられているという感覚は、とても重いものです。
なんとか解放してやりたいというジャックの気持ちはよくわかります。
魂の姿が全く解らないことにも、意味を感じました。
ところで、ジャックとメロウの関係は、せなさんとお父さんの姿に重なり合うように思うのですが、どうでしょう。
せなさんが高校を出て働くようになってから、お父さんとよく飲みに行くようになったと書いてあるように思いますが、その時お幾つでした?
せなさん、かなりの酒豪とも推察いたします。