いつも心の痛いところをついてくる成田雅子さんの絵本デビュー作。
ある日突然いなくなった猫の三郎を捜して、飼い主の麻美は森の奥のおやしきにたどり着き、三郎と再会します。家に帰ろうと促す麻美に「わるいけど、ぼくは麻美ちゃんといっしょには 帰りません」という三郎。
三郎を追っていちょうやしきに入った麻美は、三郎の本当の世界を目の当たりにして、とまどいを隠せないのでした。
抑えた色づかい、締め切った部屋の中、会話中心の文。
小劇場のお芝居みたいな感じを受けました。
描かれていることは、猫と飼い主のお話なんだけど、ちょっと味方を変えると、芸術家と恋人…という風にも感じられます。
ラストがまぁ、かろうじて「子ども向け」になっています。
色んな解釈が人によって出来る1冊ですね。あなたなら、どういう印象を持ちますか?